インコやオウムは日中のどれくらいを枝の上で過ごすのか

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行動研究から見えてくる「鳥の生活」

鳥というと、多くの人は「飛ぶ動物」というイメージを持っています。
しかし野生の鳥の行動を研究すると、少し違う姿が見えてきます。

実際には、多くの鳥は1日の大部分を枝や岩などの止まり場所で過ごしています。

鳥類行動学(Avian behaviour)では、動物が1日の時間をどの行動にどれだけ使うかを調べる研究があります。
これを Time budget(タイムバジェット) と呼びます。


野生のオウムの時間配分

南米のインコ(オウム目)を観察した研究では、日中の行動はおおよそ次のような割合になります。

行動時間割合
枝に止まる(perching)約40〜60%
採食約20〜35%
飛翔約5〜15%
羽づくろい・社会行動約5〜10%

つまり飛んでいる時間は意外と短く、生活の中心は枝の上であることが分かります。

鳥は寝るときも枝の上

多くの鳥は、夜に眠るときも枝の上で休みます。

鳥の足には「腱ロック機構」と呼ばれる構造があり、枝をつかんで止まると、体重によって指の腱が自動的に固定されます。

そのため鳥は筋肉を使わなくても枝をしっかり握ることができ、眠っている間でも枝から落ちることがありません。

つまり鳥にとって枝は

  • 休む場所
  • 食べる場所
  • 眠る場所

という生活の中心となる環境なのです。


採食も枝の上で行われる

インコやオウムが食べるものの多くは、木の上にあります。

  • 果実
  • 種子
  • 木の芽
  • 穀類(ナッツ)

そのため採食も枝に止まった状態で行われることがほとんどです。

オウム類は

  • 足で食べ物を持つ
  • くちばしで砕く

という特徴的な採食行動を持っています。
これは樹上生活への適応と考えられています。


インコは1日にどれくらい「かじる」のか

野生のオウムやインコの研究では、採食行動の中に

  • 樹皮を削る
  • 枝を砕く
  • 種子を割る

といった行動が多く含まれています。

野生のオウムでは採食関連行動が1日の約20〜35%を占めると報告されています。

つまり野生のオウムは
1日の数時間を「くちばしで何かを壊す行動」に使っていることになります。


鳥は「飛ぶ動物」より「枝の動物」

これらの研究から分かるのは、鳥の生活は

飛ぶ → 枝に止まる → 採食 → 休息

というサイクルで成り立っていることです。

そして多くの鳥では1日の70〜90%(採食行動を含む)を止まり場所で過ごすと報告されています。

つまり鳥にとって枝は休む場所ではなく生活の中心なのです。


飼育環境で重要なこと

野生のインコは

  • 枝をつかむ
  • 枝を登る
  • 樹皮をかじる
  • 枝の上で食べる

という生活をしています。

そのため飼育環境でも自然に近い枝の止まり木を用意することはとても重要です。

さらに

  • かじれる素材
  • 探索できるおもちゃ

などを用意することで、鳥は本来の行動を発揮できます。


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参考研究(論文)

Altmann, J. (1974) Observational Study of Behavior: Sampling Methods. Behaviour 49: 227–267. ※Time Budgeについて説明されています。

Renton, K. (2001) Lilac-crowned Parrot diet and foraging behavior. Condor 103: 62–69.  ※ライラッククランインコの野外観察研究で1日の74%が枝の上

Brightsmith, D. (2004) Effects of weather on parrot geophagy in Tambopata, Peru. Biotropica 36(4): 534–545. ※コンゴウインコを含む観察で1日の70~80%が枝の上

Meehan, C., Millam, J., & Mench, J. (2003) Foraging opportunity and increased physical complexity both prevent and reduce psychogenic feather picking by young Amazon parrots.

Forshaw, J. (2010) Parrots of the World. Princeton University Press.

Mettke-Hofmann, C., Winkler, H., & Leisler, B. (2002) ※最も多くのオウム種を比較した研究論文、採食関連行動が1日の20~40%とされています。
Exploration of environmental changes relates to lifestyle. Behavioral Ecology 13(5): 596–602.


次回の記事

次回は
「インコはなぜ枝を登り、かじるのか?」
というテーマで、インコの足の構造(対趾足)と行動の進化について紹介します。

BirdARCADIA監修(製作・検証担当)

森山 善正(Yoshimasa Moriyama) BirdARCADIA™ 創設者 / 製作・検証責任者 International Association of Avian Trainers and Educators(IAATE)アソシエイト会員。 鳥類トレーニングおよび福祉理論に関する国際的知見を継続的に学習・参照している。 コンパニオンバード向け天然木止まり木の設計・製作を行い、エンリッチメント・足環境・行動科学の視点から製品設計を行っている。 Yoshimasa Moriyama, Founder of BirdARCADIA™ Associate Member of the International Association of Avian Trainers and Educators (IAATE). Designer of natural wooden perches for companion birds, focusing on enrichment, avian welfare, and evidence-informed design.

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