インコの呼び鳴き vs ジェット機 どっちがうるさい?

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― 音圧100dB超の真実を科学で解く ―

朝、ケージに近づいた瞬間。

「ギャアアアッ!」

これ、本当にジェット機レベルでは?

鼓膜が震え、思わず身を引く。毎日、繰り返されることに悩んでいませんか?
中型以上のインコやオウムと共に暮らしている方の大半は経験されているのではないでしょうか。
海外のパロットフォーラムでも同様の悩みを持つ方は多く見られます。
インコやオウム側の視点で少し科学的にインコ・オウムを理解した上で、人側の受け止め方や音量対策の工夫が必要なのかもしれません。


✈ ジェット機の音圧

ジェット機の離陸音は、近距離で 120〜130dB8 少し古い機体ですがボーイング747の実測値として報告されています。

一方、大型オウムの呼び鳴きは:

  • 約100〜110dB
  • 条件によっては120dB近い報告例

物理的音圧だけを見れば、匹敵する可能性があります。


騒音レベル比較(dB)

人の会話
60dB

電車通過
100dB

大型オウム
110dB

警察サイレン
115dB

ジェット機
125dB

※dBは対数スケールです。10dB増えるごとに音エネルギーは約10倍になります。
ジェット機は持続音、大型オウムは瞬間的な指向性音です。


なぜインコやオウムは自分でうるさく感じないの?

ここが最大の疑問です。

科学的には、主に3つの理由が考えられています。

① 脳が自己音を抑制する(Corollary discharge)

発声時、脳は「これは自分の声」と予測し、聴覚野の反応を一時的に弱めます。2

② 聴覚は“音量”より“意味”に最適化されている

インコ・オウムは**音声学習鳥(vocal learning birds)**です。

音声学習鳥とは、生まれつき固定された声ではなく、
他個体の音を聞いて学び、模倣し、修正できる鳥を指します。

彼らにとって重要なのは、

      • 周波数の微細な識別能力7
      • 抑揚(周波数変調・強度変調の識別)3,4
      • リズム(時間分解能・テンポ識別能力)7
      • 発声を精密に制御する神経回路(Core + Shell構造)5
      • 音声学習に関与する遺伝子基盤(FOXP2)6

つまり、彼らの聴覚は、音量よりも「音の構造」に最適化されているらしい。

③ 内耳の再生能力

そして、インコやオウムが人よりも優れているポイントが鳥類は音響損傷後でも内耳の有毛細胞をなんどでも再生できることです1
そのため、高音圧環境への生理的耐性があると考えられています。これは人にはない能力ですね。


呼び鳴きは騒音か?

呼び鳴きは:単なる爆音ではなく

  • 群れ維持
  • 安全確認
  • 情動伝達

のための社会的通信です。

私たちにはジェット機級の爆音でも、彼らにとっては「群れの言葉」であることを理解しなければなりません。


まとめ

インコの呼び鳴きは、条件によってはジェット機級に迫る音圧を持つ。

しかし彼らは、

  • 自己発声抑制機構

  • 有毛細胞再生能力

  • 音声学習を支える神経回路

  • 群れ生活への進化的適応

を備えている。だからこそ、私たちには爆音でも、彼らには日常の声なのです。


参考文献

  1. Cotanche, D. A. (1987). Regeneration of hair cell stereociliary bundles in the chick cochlea following severe acoustic trauma. Hearing Research.
  2. Eliades, S. J., & Wang, X. (2008). Neural substrates of vocal feedback monitoring. Nature.
  3. Dooling, R. J., & Popper, A. N. (2007). The Effects of Highway Noise on Birds.
  4. Gleich, O., & Manley, G. A. (2000). The Hearing Organ of Birds and Crocodilia.
  5. Chakraborty, M., et al. (2015). Core and shell song systems unique to the parrot brain. PLOS ONE.
  6. Scharff, C., & Petri, J. (2011). FOXP2 in birds and humans. Current Opinion in Neurobiology.
  7. Hulse, S. H., et al. (1984). Frequency discrimination in birds. Journal of Comparative Psychology.
  8. International Civil Aviation Organization (2019). Environmental Report – Aircraft Noise Data.

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