オウムの“幸せ”は、何を見れば分かるのでしょうか?

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犬・猫に次いで人気の高いコンパニオン・アニマルはオウムです。しかし、オウムは本来、高度な認知能力と強い社会性を備え、広大な三次元空間を移動しながら生活する野生動物です。そのような種が人と同じ生活空間で暮らすとき、身体的・心理的な福祉が十分に満たされているのか。この問いは、感情論ではなく、科学的に向き合うべきテーマです。現在、家庭飼育下のオウムに特化した福祉評価ツールは確立されていません。しかし近年の科学的研究は、私たちが日常で観察できる“あるもの”に注目しています。それが、行動と羽毛の状態です。


Animal Welfare という学術誌をご存じですか?

『Animal Welfare』は、Universities Federation for Animal Welfare(UFAW)が発行し、Cambridge University Press が出版する査読付き国際誌です。1992年の創刊以来、動物福祉科学の分野を代表するジャーナルの一つとして、科学的根拠に基づく福祉向上を目指す研究を掲載してきました。

『Animal Welfare』は、動物行動学や獣医倫理学の分野で高い評価を受けており、多くの大学や研究機関で引用されています。また、動物福祉政策の科学的基盤を支える役割を担い、国際的な学会や行政機関の議論にも影響を与えています。

掲載論文は、家畜・伴侶動物・実験動物・野生動物の福祉に関する科学的研究を中心に、生理的・行動的指標によるストレス評価、飼育環境の改善、動物倫理の枠組み、法規制の影響など幅広いテーマを扱っています。


今回ご紹介する論文

同誌に掲載された体系的レビュー論文
What we (don’t) know about parrot welfare: Finding welfare indicators through a systematic literature review”(2024)

この研究が問いかけたのは、とてもシンプルなものです。

オウムの“幸せ”は、何を見れば分かるのでしょうか?

研究者たちは、1,848件の研究記録を収集し、厳密な基準で選別した結果、98本を分析対象としました。そして、その中に登場する福祉指標をすべて抽出しました。合計1,512項目です。


論文で実際に扱われていた主な指標

本論文では、98本の研究から報告された福祉指標(アウトカム)を抽出し、体系的に整理しています。主なカテゴリには以下が含まれます。

  • 活動レベル(movement / activity)
  • 社会的行動(social interaction)
  • 探索行動(exploration)
  • 羽毛状態(feather condition)
  • 異常行動(feather damaging behaviour, stereotypies など)

研究者は、抽出された合計1,512項目のアウトカム(研究で測定された結果指標)について、次の二つの基準で評価を行いました。

  1. 統計的に有意であるかどうか(妥当性)
  2. 実用的に観察可能であるかどうか(実用性)

その結果、572項目が「統計的に有意であり、かつ実用可能」と判断されました。

各指標の「基準値」について

本論文は、活動レベル、社会的行動、探索行動、羽毛状態、異常行動といった指標を抽出・整理していますが、これらに対する具体的な数値基準や「この水準であれば福祉が良好である」といった明確なカットオフ値は提示していませんでした。本レビューの目的は、福祉を測定するために使用されてきた指標を体系的に整理し、それらが統計的に有意であり、かつ実用的に観察可能であるかどうかを評価することにあるのでしょう。したがって、各指標についての「理想的な数値水準」や「幸福度の閾値」は、現時点では科学的に確立されていないことが、本論文からも示唆されています。


行動指標について

行動(behaviour)は、本レビューにおいて主要なアウトカムカテゴリの一つとして整理されています。活動レベル、社会的相互作用、探索行動、ならびに常同行動や羽毛損傷行動などの異常行動が含まれます。

これらの行動指標は、統計的有意性の有無に基づき妥当性が評価され、また特別な機器や高度な専門知識を必要とせず観察可能であるかどうかという観点から実用性が検討されています。

その結果、行動関連の複数の指標が、有意かつ実用可能な指標群に含まれています。


羽毛状態(feather condition)について

羽毛状態も福祉指標の一つとして抽出されています。羽毛の状態や羽毛損傷行動(feather damaging behaviour)は、複数の研究において評価対象となっていました。

これらの指標についても、統計的に有意な関連が報告されているかどうか、および実用的に観察可能であるかどうかの観点から評価が行われています。

本論文は、羽毛状態を福祉の決定的指標と断定するものではありませんが、評価可能な指標の一つとして整理しています。


BirdARCADIAの視点

BirdARCADIAでは、ケージ内の止まり木やバードスタンドを鳥の行動を考えて設計・提供しています。

  • 鳥がどう動くか
  • どの高さを選ぶか
  • どの枝を好むか
  • どの方向へ移動するか

つまり「行動」です。

活動レベル、探索、社会的関わり——これらが自然に引き出される環境かどうか。それこそが、福祉を考えるうえでの出発点だと考えています。

BirdARCADIAでは、天然木の止まり木やおもちゃにおいて複数の素材やサイズをご用意しています。しかし、それらは「正解」を示すものではありません。

大切なのは、ご自身のコンパニオンバードについて知ることです。

  • どの太さを好むのか
  • どの高さを安心と感じるのか
  • どの素材に長く留まるのか
  • どの動線で移動するのか

鳥によって選択は異なります。

わたしたちの製品はあくまで「選択肢」を提供するものです。福祉を決めるのは、その鳥がどのようにそれを使うか、そしてペットと共に暮らしているパートナー様がどれだけ丁寧に観察するかにかかっています。

私たちは環境を整えることはできます。しかし、その環境の中で何を選ぶかは、鳥自身に委ねられています。

それが「選択の自由」であり、福祉を考えるうえで欠かせない視点です。


結びに

オウムの福祉を考えるとき、難しい理論から始める必要はありません。

  • 行動
  • 羽毛の状態
  • そして選択の自由

科学はまだ答えを出しきれていません。しかし、問いはすでに明確です。

私たちは、鳥の行動をどれだけ丁寧に見つめられているでしょうか。


BirdARCADIA 天然木止まり木コレクション

BirdARCADIAでは、天然木の個性を活かした止まり木やバードスタンドを通じて、鳥が自ら選べる環境づくりを大切にしています。


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