動物園の飼育環境から学ぶ「Ramp(ランプ)」とは?
コンパニオンバードの移動環境を考える
今日は Ramp(ランプ) について、少しご紹介したいと思います。
皆さんは、動物園で飼育されている大型猛禽類が、どのような環境で暮らしているかをご存じでしょうか。
私たちが家庭でコンパニオンバードを飼育する際に使用するものは、一般的に「ケージ」と呼ばれます。
大きなものでも幅・奥行き・高さはいずれも1m前後で、高さも1mあるかないか、というサイズ感が多いのではないでしょうか。
一方で、動物園や専門施設で大型の鳥、特に猛禽類が飼育されている空間は、
「アビアリー(Aviary)」 と呼ばれることが多くあります。
動物園の猛禽類はどんな環境で飼育されているのか
家庭で使われる「ケージ」と専門施設の違い
家庭用ケージは、管理や安全性を重視した空間です。
一方、動物園などの専門施設では、鳥の行動・身体機能・福祉を前提とした 「飼育環境」 として空間が設計されています。
単に囲われているかどうかではなく、
鳥がどのように移動し
どこで休み
どのように行動するか
という視点が重視されています。
大型猛禽類が暮らす「アビアリー」という空間
アビアリーとは、鳥が羽ばたいて移動できる立体的な飼育空間のことを指します。
ただし、すべてのアビアリーが「自由に飛べる広さ」を確保できているわけではありません。
構造や立地の制約により、飛翔距離が限られるケースも多く見られます。
アビアリーでも「自由に飛べる」とは限らない理由
大型猛禽類の羽ばたきと移動距離の現実
大型の猛禽類は、一度羽ばたくと およそ1〜3mほど の距離や高さを移動することができます。
しかし、アビアリーや大型ケージの中では、その距離を常に安全に確保できるとは限りません。
また、大型猛禽は連続した羽ばたきで高度を稼ぐ鳥ではなく、
前進と滑空を組み合わせて移動する という飛行特性を持っています。
飛翔だけに頼らない環境設計の必要性
そのため、
「飛べるはずの鳥だから飛ばせばよい」
という考え方だけでは、必ずしも安全で快適な環境にはなりません。
そこで重要になるのが、羽ばたかずに移動できる手段 です。
Ramp(ランプ)とは何か
Ramp(ランプ)の基本的な役割
Ramp(ランプ) とは、日本語で言うと スロープ(傾斜路) のようなものです。
鳥が 歩いて上下に移動するための坂道 と考えると分かりやすいでしょう。
なぜ上下移動のためにランプが必要なのか
ランプは、
飛翔距離が十分に確保できない場合
足を怪我している鳥
高齢になり運動能力が低下した鳥
にとって、安全な移動手段として重要な役割を果たします。
怪我や加齢によって変わる「移動手段」
足を怪我した鳥・高齢鳥にとっての課題
足に負担がかかると、
止まり木へのジャンプや着地が大きなリスクになります。
その結果、
移動そのものを避ける
高い場所に行かなくなる
といった行動変化が起こることもあります。
羽ばたかずに移動できることの重要性
羽ばたかずに上下移動できる環境は、
身体への負担を減らすだけでなく、
鳥にとっての 安心感 にもつながります。
猛禽類のランプに使われる素材とその理由
ターフ(人工芝)が使われる背景
猛禽類向けのランプには、ターフ(人工芝) が使われることが多くあります。
これは、爪が適度に引っかかり、滑りにくく、足裏への負担を分散できるためです。
滑り止めと爪の引っかかりのバランス
ただし、この素材選択は、
猛禽類という種特性と使用環境を前提としたもの です。
コンパニオンバード向けスロープで注意すべき点
人工芝が不向きな理由
コンパニオンバードの場合、
人工芝の繊維が爪や嘴に絡むリスクがあり、必ずしも安全とは言えません。
溝加工など安全性を高める工夫
家庭向けのスロープでは、
表面に一定間隔で溝を設ける
爪が軽く引っかかる程度の加工を行う
など、引っかかりすぎない安全設計 が重要になります。
BirdARCADIAが考えるスロープ設計
素材選定に対する考え方
BirdARCADIAでは、
ホームセンターなどで安価に流通している一般的な針葉樹材を、
私たちの基準では使用していません。
鳥の安全性・耐久性・長期使用を考慮した素材選定を行っています。
試作中の小型〜中型インコ向けランプについて
現在、小型〜中型インコ向けの スロープ(Ramp) の試作を進めています。
動物園の飼育環境で培われた考え方を、そのままではなく、
家庭環境に適した形に翻訳すること を大切にしています。
止まり木とランプは「セット」で考える
止まり木だけでは補えない動き
止まり木は非常に重要な環境要素ですが、
それだけでは移動のすべてをカバーできません。
移動環境全体を設計するという考え方
止まり木とランプを組み合わせて考えることで、
鳥にとっての移動は、より安全で自然なものになります。
まとめ|動物園の知見を家庭の暮らしへ
止まり木やランプは、単なる「道具」ではなく、
鳥の行動・身体・安心感を支える 生活環境の一部 です。
動物園の専門的な飼育環境をそのまま家庭に再現することはできませんが、
そこにある 設計思想 は、コンパニオンバードとの暮らしにも確実に活かすことができます。
BirdARCADIAでは、
人と鳥がより安全に、より心地よく共に暮らせる環境づくりを、
これからも丁寧に考え、形にしていきます。
BirdARCADIAの止まり木について
BirdARCADIAでは、鳥の身体の使い方や行動特性を考慮し、
自然素材を活かした止まり木を一つひとつ製作しています。
鳥種や体格、飼育環境に応じて選べるよう、
サイズや形状、設置方法の異なる止まり木をご用意しています。
ご家庭のコンパニオンバードに合った止まり木選びの参考として、
以下のページもあわせてご覧ください。






































1件の返信
[…] 少し早いですが、先日ブログでご紹介した**「動物園の飼育環境から学ぶ傾斜路(Ramp)とは」**というテーマについて、現在 試作段階に入ったことをご報告いたします。
2026/02/02 updated : 現時点で分かっていること
ランプ傾斜角30度:利用してくれない。また、ランプ表面の溝をかじって遊び始める
ランプ傾斜角15度:登り降りの移動手段として頻繁に利用し始める […]