猛禽類アビアリ設計における止まり木の考え方
IAATEで学んだ視点から考える、猛禽類アビアリ設計と止まり木の要素...
この記事では、獣医師向けの査読付き専門誌「Today’s Veterinary Practice(TVP)」や、
海外のパロットフォーラム(Avian Avenue など)で繰り返し警告されている
「鳥にとって有害な亜鉛(Zinc)」について、
できるだけ分かりやすく解説します。
亜鉛は「体に必要なミネラル」というイメージがある一方で、
鳥では重金属中毒の主要な原因として知られています。
特に問題になるのが、鳥が金属をかじる行動によって起こる、
ごく微量・慢性的な亜鉛の摂取です。
その量は、鉛筆の芯(※鉛ではなく黒鉛)を削ったときに出る粉の、
「見えるか見えないか分からない程度」でも十分に危険とされるレベルです。
人間の感覚では無視してしまうほどの量でも、
体の小さな鳥にとっては確実に蓄積し、中毒につながる可能性があります。
なぜそのような微量でも問題になるのかを、
①化学的性質 → ②生体内での挙動 → ③鳥特有の問題という順で整理し、
あわせて鉄やステンレスとの決定的な違いも解説します。
「噛む → 溶ける → 吸収される」 が成立してしまう
金属が「溶ける」というのは、
ドロドロに溶けるという意味ではありません。
とても小さな目に見えないレベルで、
金属がバラバラになって、水や酸の中に逃げ出すことを指します。
鉄はとてもかたいので、レモンをかけてもほとんど削れません。
でも亜鉛はやわらかく、酸に弱いため、
レモン汁・唾液・胃酸に触れると、
見えない粉のようになって少しずつ溶け出します。
この3つがそろうと、
金属は毎日ほんの少しずつ削られ、体の中に入ってしまいます。
それが、鉛筆の粉のような「見えるか見えないかの量」でも、
毎日続くことで危険になる理由です。
慢性的な少量摂取でも中毒になる
体重300〜900g。mg単位の摂取がすでに過剰
吸収スピードが速く、症状の進行も急。
「意図せず毎日少量を摂取」 が起きる
| 項目 | 亜鉛(Zn) | 鉄(Fe) | ステンレス |
|---|---|---|---|
| 生体必須 | ◎ | ◎ | ― |
| 金属としての安定性 | 低い | 中 | 非常に高い |
| 酸への強さ | 弱い | 比較的強い | 非常に強い |
| 噛んだ時の溶出 | 起きやすい | 起きにくい | ほぼ起きない |
| 慢性中毒 | 非常に多い | 稀(種差あり) | ほぼなし |
| 鳥かご素材 | ❌ 避ける | △ 状態次第 | ◎ 最優先 |
| 代表的リスク | 亜鉛中毒 | 錆・鉄過剰症 | ほぼなし |
亜鉛は体に必要な元素ですが、
金属として存在し、鳥がかじれる環境では最も中毒を起こしやすい金属のひとつです。
鳥の安全を考える際は、
「金属かどうか」ではなく「溶けるか・吸収されるか」が重要です。
その観点から、
亜鉛メッキは避け、ステンレスを選ぶことが、
科学的にも獣医学的にも妥当といえます。
参考文献:本記事は、査読付き獣医専門誌 Today’s Veterinary Practice に掲載された「Lead and Zinc Toxicity in Birds(2019)」を主要な根拠とし、The Parrot Society UK、Avian Avenue Parrot Forum、Merck Veterinary Manual 等の情報を参考に構成しています。
BirdARCADIAでは、鳥の身体の使い方や行動特性を考慮し、自然素材を活かした止まり木を一つひとつ製作しています。また、設計上、木の内部で見えない箇所に至るまで金属はステンレス鋼を使用しております。
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